古処誠二『ルール』 集英社
最近読んだミステリの中で屈指の一冊。ぼくより十も若い作者にこれほど迫真の軍隊話が書けるとは驚きであるというか、軍事ヲタクの作者がこのあたりまで書込めば迫真性を感じられるほどに実際の戦争体験が風化してきたということだろう。軍隊経験者に読ませてみたらどう思うか聞いてみたい気もする。「戦争体験を語る」ことについて戦争体験者たちがよく言う「体験した者でなければ語れない」という主張は、じつは矛盾している。体験した者でなければ理解できないのであれば、それを他人に語り伝えることなどそもそもできないのであるし、他人に語り伝えられるのであれば、それは体験者でなくてもできるはずなのである。延々と続く極限状態の描写がすさまじく、『Uボート』で息苦しくなるのと同じ意味で腹が減る話だった。ぼくは昔、断食ヲタクだった時期があって、二週間水だけで過ごしたことがあるのだが、その感覚がまざまざと蘇った。体重計ってみようか。
姫山軍曹というサブキャストの博多弁がなんとも効果的に使われているのだけど、この作者は福岡出身なのだろうか。東京言葉以外に、自信をもって使える方言を持っている作家は得だと、つくづく思う。
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