作品紹介

2011年3月 6日 (日)

内田剛さんによる感想

『暴走ボーソー大学』の出版から1ヶ月と少し。読んでくれる人はそこそこ増えたけど、感想を寄せてくれる人はまだまだ少数。
そこで、ごく早い時期に三省堂書店の内田剛さんからお寄せいただいた感想を、ご本人のご厚意により、このブログで紹介させていただきます。内田さんと言えばカリスマ書店員として名高い方。作者としてこれにまさる光栄はありません。

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いつも大変お世話になっております。
『暴走ボーソー大学』ゲラありがとうございます。
いやいやいや、楽しく拝読させていただきました。
この荒唐無稽さは個人的に大好きです。
(普段とても折り目正しい生活をしておりますので。)
大風呂敷を広げるだけ広げて、こりゃ一体どうなることやらと思いましたが、
ラストは見事な着地で、拍手喝采。新鮮な驚きとともに、
さすがは山之口洋!いよっ、ファンタジーノベル大賞作家!と思いました。
(しかし『オルガニスト』から10年以上とは…感慨深い…)
登場人物のそれぞれのキャラが際立ち、かつ躍動し、
ベタな表現で恐縮ですがハラハラドキドキの展開を堪能できました。
その型破りなボーソーぷりには、共感を超えて羨ましささえ感じます。
「最近、面白い本に出会っていない!」という読者にこそオススメ。
牧歌的ともいえるユルさと巨悪に立ち向かうシビアさが、
絶妙にブレンドされていて癒しと刺激に満ちています。
2011年、最初の驚きと収穫はこの一冊ということで、
売り方、工夫したいと思います。(装丁も非常に気になるところ…)
こんな感じでどうぞよろしくお願いいたします。
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株式会社 三省堂書店 営業本部
内田 剛

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2011年3月 4日 (金)

舞台紹介(2) 行行林進のふるさと

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作中でお馬鹿学生たちの活動に「大人の常識」を注入する役割の行行林進(おどろばやしすすむ)講師ですが、この変な姓は、船橋市内の地名に由来します。もう八千代市との境界に近い辺り。

なんでこれを「おどろばやし」と読むかと言えば、昔、この辺りを歩いていると、行けども行けども林が続くので「おどろいてしまう」という、なんだか間抜けなエピソードから。たしかに作品の舞台になる房総や千葉県内陸部は、どこに行っても雑木林と竹林だらけです。いずれ人類が滅亡したら、房総半島はまた雑木林と竹林で埋め尽くされた巨大な「おどろばやし」になると思われます。

初対面の人は誰も読んでくれないこの姓ですが、シンジの父親である西川精肉店の二代目・西川大吉は、「秘密のケンミンショー」の某マスターよろしく、
「あなた、船橋市の出身だね」
と行行林の故郷を言い当てます。

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2011年3月 2日 (水)

舞台紹介(1) シンジの実家・「西川精肉店」のモデル

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主人公・西川慎次の実家のモデルになった、上総牛久町にある○川精肉店です。

バイクでツーリングした折など、僕はしょっちゅうこの店のメンチカツとコロッケのお世話になります。雨上がりのせいか、写真には写っていませんが、普段は店先に、作品にも書いたような木(竹?)のベンチが出ていて、近所の中学生なんかがそこでコロッケをかじって行きます。大の大人がそれをやるのは恥ずかしいかと言えば、ライダージャケット姿ならかえってちょいわる親父っぽくサマになる、というのが僕の勝手な解釈。

ここの親父さんはちょっと変わった頑固親父で、紙袋に入ったメンチをその場で食おうとすると、
「ソース要りますか?」
「じゃ、ちょっと」
「でも、下味がついてますから、このままでも旨いですけどねえ」
って、じゃあ聞くな! でもその言葉通り、ここのはソースかけない方が旨い! どちらも95円と懐にも優しいお値段。

もちろん、作中で慎次の親父が暗躍したというのはフィクションです。

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2011年2月 4日 (金)

登場人物紹介(1) 西川慎次

Shinji

 西川慎次 通称シンジ。房総自由大学環境情報学部四回生。極楽鳥研究会会長。このままでは単位が足りず、卒業が危ういと感じはじめている。特技などない。後輩の楠葉によれば「先輩は統計的に見てもっとも平凡な一学生であるところに存在意義がある」。実家の西川精肉店を継がされそうだが、何とか逃げ出したいと思っている。密かに北野杏子に好意を抱いているが、女性への目覚めは遅く、杏子からは『童貞』とからかわれている。

本文から少し引用……

 かなり美人の兄嫁が、こないだの正月、家にやってきて言った。
「ここでコロッケやメンチ、いただいて帰って、遙香に食べさせたら、『叔父ちゃんのコロッケはおいしいね。町一番のお肉屋さんになれるね』ですって。ほほほ……」
 シンジは屈託無く笑う兄嫁の横顔を呆然と眺める。これは陰謀だ。俺の頭越しに両親と兄夫婦が結託し、俺を肉屋の跡継ぎにするためのレールを着々と敷いているのだ。兄嫁の魂胆はわかっている。兄の健一が脱サラして肉屋を継ぐ、ゼロコンマゼロゼロいくつかの可能性さえ、きっちりつぶしておきたいのだ。どうやら義姉(ねえ)さんはノギスのような人だ。

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2011年1月31日 (月)

新刊:暴走ボーソー大学

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(AMAZONで詳細を見る)

今日付けで新刊が徳間書店から出ます。「何このタイトル!」と言うなかれ。編集のYさんと二人であれやこれやと検討を重ねた結果、こうなったのです。と言うかYさんに押し切られた感じ。やや面はゆいのですが、本になってしまうと、これでよかったような。

ステキな表紙イラストはスカイエマさん。表紙から裏表紙まで、主要登場人物7人全員が「ボーソー」している贅沢な絵柄です。僕は単行本でイラストレーターさんに恵まれることが多いのですが、今回の(やはりYさんとあれこれ知恵を絞った結果の)ご依頼も、ビンゴ! だったようです。……と思ったら、つい先週出た友人の作家・越谷オサムさん『セキレイ荘のタマル』と鉢合わせしてしまいましたが。

スカイエマさんはこの作品のためにノリノリでお仕事をしてくださり、もう一枚、表紙絵の案を書いてくれました。こちらも勝るとも劣らない出来映えで、作者としては捨てがたかったのですが、題字や帯など、他の要素とのレイアウト上の問題で、こちらに決まりました。そこで、せめて当『山之口.com』上で紹介し、ゆくゆくは登場人物紹介などに使いたいのだけど……と打診したところ、二つ返事でご快諾いただいた次第です。スカイエマさんは、若者の気持ちがちょっとした姿勢や仕草に出てきたところを、さっと捕らえるのが実にうまく、わがキャラクターたちに命を吹き込んでくれました。

これからしばらく、いろいろな面からこの作品を紹介してゆきたいと存じますが、まずは「あらすじ」の紹介から。

「おれらの大学(ガツコウ)が無くなるぅ!?」
 房総の下流大学でのびのびしすぎた青春を謳歌する学生たちに襲いかかる突然の災難。大学を設立した学校法人秋元学園が突如経営破綻、房総自由大学を「解散」すると言うのだ――それじゃ、おれらは卒業できないわけ?
 すでに留年必至だった四回生の部長・シンジをはじめ『極楽鳥研究会』のメンバーたちはあわてふためく。だが、ひょんな経緯から『顧問』にされた非常勤講師・行行林(おどろばやし)とも協力しながら調べてみると……あるわあるわ、学生たちを食い物にする大人たち(秋元理事長、文科省加瀬局長、房総田辺組組長ら)の陰謀の数々。なんとここは、ブラック企業ならぬブラック大学。秋元理事長がはじめから○○のためだけに建てた大学なのだった。
 ブラック大魔王 vs. 下流大学の七人の極楽トンボたち――はたして不揃いすぎる彼らは、大学廃校という巨大な流れをせき止め、無事に卒業できるのか? メンバーたちは、それぞれの特技(高所平気症、ナンパ、録り鉄……)を生かして廃校劇の内幕を暴き、とまどい、ズッコケながらも対抗策を模索する。

帯の推薦文は、畠中恵さんと森見登美彦さんにいただきました。ご両人とも今や流行作家なので、「お二人に、というのは失礼にあたるのでは?」といささか悩みましたが、これまた編集のYさんに「ぜひに!」と頼み込まれ、ひたすらメッセンジャーボーイと化した次第。お二人とも、過分なお言葉をお寄せいただき、ありがとうございました。

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2010年4月13日 (火)

文庫 出ました!

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天平時代を舞台にした歴史ファンタジー『天平冥所図会』が文春文庫から出ました。実を言えば、文庫にしていただけると思っていなかったもので(単行本は2刷止まり)、とっても感謝感激しています。

イラストは単行本で主要登場人物全員のキャラを描いてくださるほどこの作品を読み込んで、力の入ったイラストを描いていただいた三木謙次さん(@『僕僕先生』)。文庫表紙のために新しいイラストを描き下ろしていただきました(そればかりか、登場人物の一覧表中のある人物が、表紙と違うとの理由で修正するなど、作品の中にまで入り込んでいい仕事をしてくれました。感謝のあまり、イラストでTシャツを作って出講している大学に着ていったくらいです。

解説は面白時代小説に造詣が深い細谷正充さん。三年前の単行本以来、本書を暖かく見守ってくださっています。一読して、ここまで読んでいただければ作者も「もう思い残すことはない」くらいです。ただ細谷先生、

「しかしだ。なぜ作者は、これほど作品の多様性にこだわるのか。」

というのは、買いかぶりです。私は自ら望んで作品をいろんなジャンルに散らかしているわけではなく、思いつく話が、たまたまどのジャンルにもおさまらない、変な話ばかりなのであります。一つのジャンルで一貫して書き続け、骨を埋められればどんなによいか、と熱望しながらも、たまたた頭に浮かび、登場人物のイメージが住み着き、さあ書けさあ書けと迫る物語が、どれもへんてこな、ジャンルからはみ出た話ばかりなのです。現に今は、台湾を舞台にしたファンタジーと、房総を舞台にした学園ドラマを同時進行中です。自分が面白いと感ずることと、世間の人が面白いと感ずることがずれている。これが私の作家としての立脚点でもあり、致命傷でもあります。

帯の推薦文は、同じファンタジーノベル大賞出身の、森見登美彦さんにもらいました。

「祝! 平城京開都1300年 諸君、この書を持って奈良へ行こう」

森見さんは京都を舞台にした作品をつぎつぎと書いておられる新進気鋭の作家ですが、実は奈良県のご出身です。いまは東京にご在住です。二月にPM会(仮称)という飲み会でひさしぶりにご一緒したのですが、すっかり流行作家らしい貫禄を身につけておいででした。彼の才能を見るにつけ、モーツァルトと共演するサリエリみたいな気分になります。いやマジで。

この作品を読んだ方は、続編などありえないとお考えでしょうが、実はこの作品には、続編4作品の構想があります。書かせていただけるかどうかは文庫の売れ行きしだいですが。ちょっと、祈るような気持ちでおります。

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2008年9月23日 (火)

麦酒アンタッチャブル

バイク三昧の日々を送っている間に、大事なお知らせが遅れてしまった。

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8月末に新作が出ました。七作目です。なんだかんだ言いながら、今年でデビュー十周年になる。十年で七作というのは情けないので、もう一つ大作をぶちかましてやろうと思うのだが、なかなか思うに任せない。

それはさておき、今度のは(いつものことながら)これまでのどの作品とも違うテイストの「役人コメディ」。自分で説明するのはむずかしいから、公式の解説を借りれば、

「コップ5杯のビールなら、3杯は税金だ」財務省酒税課に出向中のキャリア警官魚崎は、アルマーニを着る変わり種官僚の根津に、ある秘密パーティへ誘われた。熱気あふれる会場に集う怪しげな紳士淑女。彼らは非合法の麦酒自家醸造家たちであった。魚崎は、自らも密造に手を染めてしまう。だが、これこそ、自称特別捜査官・根津の狙いだった!アンタッチャブルな暴走官僚に翻弄される魚崎。そして、自ビール愛好家たちとの、妄想だらけの闘争!悪夢の脱税取締の行方は!?芳醇なコク、極上のキレ味!傑作エンターテインメント誕生。

ビールと言えばこの人! というわけで、デビュー以来大変お世話になっている椎名誠さんにお願いして、

「嬉しくて怖くて ビール好きにはヤバイ話だ でも最後にぐわっと元気が出るぞ。」

というありがたい帯をいただいた。
装丁は松昭教さん。表紙は「枝豆を載っけたキリスト」とばかり思っていたら、バッカスだとのこと。
本文挿絵は浅賀行雄さん。本文中のわずかな記述からキャラを造形していただいた手腕に舌を巻く。特に敵役カポネの「ちょい悪オヤジ」風のルックスには書いた本人が笑い出してしまった。

というわけで、ビール好きにもそうでない人にも、ジョッキ一杯のビールのように取りあえず飲んで欲しい。はじめてのノベルスなので、値段もちょうどそれくらいの900円だ!

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2007年10月 4日 (木)

幻(?)のPOP

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『天平冥所図会』の増刷に合わせて出版社の方で作ってもらったPOPです。まだ、書店の店頭で見たことはないのですが、暇にあかしてあちこちの書店に足を運んでおります。
鬼才の誉れも高いモリミーこと森見登美彦さんのご推薦のことばがひときわまばゆく輝いております。
屋根に寝ころんでる戸主の姿も、このPOP限定ですね。
この作品では、とにかくイラストの三木謙次さんにお世話になっておりまして、おそらく売れ行きの半分くらいは絵の力ではないかと思っています。

このPOP、見かけた方がいらっしゃったら、一言、どこで見たよとコメントしていただければ、押っ取り刀で駆けつけます。よろしく。

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2007年9月25日 (火)

登場人物紹介(12) 賀茂角足

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紫微中台の職場における主人公戸主の直属上司。
紫微少忠の戸主が課長さんだとしたら、紫微大忠の角足は部長さんというところ。もっとも本業は数百人を率いる軍隊の長ですから、根っからの軍人です。直情型で他人の気持ちを細やかに思いやったりはできませんが、反面、裏表のない、さっぱりした気象の持ち主で、戸主とはこっちの世界でもあっちの世界でも腐れ縁のようにしょっちゅう出くわしますが、結構気があっているようです。

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登場人物紹介(11) 藤原永手

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藤原北家の次男。
一般に、橘諸兄に奪われた政治的実権を取り戻すべく立ち上がった藤原氏の若きホープが藤原仲麻呂、ということになっているのですが、仲麻呂の目的は己一個の栄達にあったというほうが近く、実の兄豊成を太政官から左遷したり、この永手や百川(この人物はとっても面白い! いずれ「続編」で登場させるつもりです)など、藤原家の内部にも敵をつくってしまいます。その辺も仲麻呂の乱で味方に恵まれなかった理由かと思います。ま、自業自得ですな。

そうそう、永手の話です。この人は相当の野心家と思われますが、仲麻呂政権の間中、牙を隠してひたすら目立たないようにしていたらしく、太政官のそこそこの地位にありながら事件や陰謀にも巻き込まれず、ついに左大臣の地位に登り詰めます。

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