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2010年4月13日 (火)

文庫 出ました!

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天平時代を舞台にした歴史ファンタジー『天平冥所図会』が文春文庫から出ました。実を言えば、文庫にしていただけると思っていなかったもので(単行本は2刷止まり)、とっても感謝感激しています。

イラストは単行本で主要登場人物全員のキャラを描いてくださるほどこの作品を読み込んで、力の入ったイラストを描いていただいた三木謙次さん(@『僕僕先生』)。文庫表紙のために新しいイラストを描き下ろしていただきました(そればかりか、登場人物の一覧表中のある人物が、表紙と違うとの理由で修正するなど、作品の中にまで入り込んでいい仕事をしてくれました。感謝のあまり、イラストでTシャツを作って出講している大学に着ていったくらいです。

解説は面白時代小説に造詣が深い細谷正充さん。三年前の単行本以来、本書を暖かく見守ってくださっています。一読して、ここまで読んでいただければ作者も「もう思い残すことはない」くらいです。ただ細谷先生、

「しかしだ。なぜ作者は、これほど作品の多様性にこだわるのか。」

というのは、買いかぶりです。私は自ら望んで作品をいろんなジャンルに散らかしているわけではなく、思いつく話が、たまたまどのジャンルにもおさまらない、変な話ばかりなのであります。一つのジャンルで一貫して書き続け、骨を埋められればどんなによいか、と熱望しながらも、たまたた頭に浮かび、登場人物のイメージが住み着き、さあ書けさあ書けと迫る物語が、どれもへんてこな、ジャンルからはみ出た話ばかりなのです。現に今は、台湾を舞台にしたファンタジーと、房総を舞台にした学園ドラマを同時進行中です。自分が面白いと感ずることと、世間の人が面白いと感ずることがずれている。これが私の作家としての立脚点でもあり、致命傷でもあります。

帯の推薦文は、同じファンタジーノベル大賞出身の、森見登美彦さんにもらいました。

「祝! 平城京開都1300年 諸君、この書を持って奈良へ行こう」

森見さんは京都を舞台にした作品をつぎつぎと書いておられる新進気鋭の作家ですが、実は奈良県のご出身です。いまは東京にご在住です。二月にPM会(仮称)という飲み会でひさしぶりにご一緒したのですが、すっかり流行作家らしい貫禄を身につけておいででした。彼の才能を見るにつけ、モーツァルトと共演するサリエリみたいな気分になります。いやマジで。

この作品を読んだ方は、続編などありえないとお考えでしょうが、実はこの作品には、続編4作品の構想があります。書かせていただけるかどうかは文庫の売れ行きしだいですが。ちょっと、祈るような気持ちでおります。

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コメント

はじめまして。文庫化おめでとうございます。
この本 母とともにすっかりはまっています。家族の話題が増えました。
そのため、母が「葛城王と葛城戸主はどういう関係か?」と難問を突きつけ、ネットで検索するうちにこちらにたどりつきました。
続編を読みたい本の一つです。いつか、活字になってほしいなぁと心から願っています。

投稿: 香桑 | 2010年5月 3日 (月) 00時48分

香桑さん はじめまして……あれ、でもこの名前、どこかで見聞きした気が……

奈良時代は短くて、昭和と平成を合わせたよりも短いんですね。
空間的にも、宮廷とその周辺で、ほぼすべてを回している。
そういう、いわば箱庭みたいな「こじんまり感」が個人的に好きなんです。せっかく創り上げたキャラたちですので、もう少し活躍させてみたいと画策中です。長い目でお待ちあれ! お母様にもよろしく。

投稿: YoYa | 2010年5月11日 (火) 11時46分

    「大仏さんの表紙、Goodです」

山之口 洋さん、はじめまして。
2007年7月の「単行本」第一刷発行時からの『天平冥所図会』ファンです。
私も「1960年、東京生まれ。」の男ですが、この十年来、なぜか奈良(特に東大寺さん)にハマってしまい、JR東海のポスターやテレビCMに誘われ、毎年のように一人で旅行していました。

今年は「平城遷都1300年」。
それに合わせて、4月にはNHK大阪が古代史ドラマ「大仏開眼」を二週にわたり放送するので、きっと、この本も文庫本化されるだろうナ、と思っていたら、やっぱり!
先日、ひと月遅れで「文庫本」を手に入れました。
大仏さんの表紙、物語の背景である奈良時代を表わすアイコンとしてピッタリ!、Goodです。

四篇のうちでも、特に好きな話は「正倉院」。
改めて読み返してみて、終盤近く「賛」「否」で意思を伝えんとする、あのクダリは、ひょっとして、ご専門の「電脳工学」あたりから着想を得たのでは…、などと勝手にカンぐって、楽しんでいます。

どうやら、続篇の目論見もあるとのこと、「単行本」になった“なら”、ぜひ、また読みたいです。
なにせ、戦国や幕末に比べ、奈良時代を題材にした小説は、とても少ないですから…。

以上、「コメント」というより「ファンレター」のようになってしまいましたネ、長くてスミマセン。

投稿: きよしお | 2010年5月31日 (月) 22時04分

山之口 洋さん、はじめまして。
まさか、ブログがあるとは思いませんでした。
続編、是非是非読みたいです!

だって、私、平城宮跡で一番興奮したのが、兵部省と式部省でしたもの^^(←道行く人が不思議そうに見てました)

これからのご活躍を楽しみにしております。

投稿: ヒース | 2010年11月 2日 (火) 17時00分

きよしおさま、ヒースさま。長いこと放置してしまい申し訳ありませんでした。更新自体が滞りがちで、このままフェードアウトしそうになっていたものですから。
長い間の低迷からもようやく脱し、またブログを再開することにします。
今後とも、ひとつ長~い目でよろしくお願いいたします。

投稿: Yoya | 2010年12月20日 (月) 07時36分

はじめまして。
「天平冥所図会」を文庫本で読ませていただきました。
この1年ほど聖武~孝謙(称徳)時代の歴史にハマっていて、いろんな歴史書や小説を片っ端から読んでいます。きっかけは遷都1300年祭でもNHK「大仏開眼」でもなく、地元岡山ゆかりの和気清麻呂と吉備真備にたまたま興味を持ったから(私自身は東京出身ですが、長らく岡山に住んでいます)。そしたら、こんな小説があるではありませんか!一瞬、著者は岡山の人かと思った~。
いくつか読んだこの時代の歴史小説は、人物に思い入れがある分どれも面白かったのですが、「天平冥所図会」は断トツ面白くて参りました。なんといっても、等身大の人間味あふれる人物描写に魅せられました。フィクションの世界だと分かっていながら、思わず本当にこんな人だったんじゃないかと考えてしまうほど。雰囲気ぴったりのイラストも良かったので、表紙の違う単行本のほうも買ってしまいました(^-^;
続編の構想もおありだとか。期待してます!本の売れ行きに結び付くか分からないけど、非力ながら周りの人に勧めまくりたいと思っています。(岡山なら食いつく人も多いかな?)

投稿: SF | 2011年1月 7日 (金) 12時36分

SFさまはじめまして。
この作品の構想が生まれたのは結構古く、平成二年の正倉院展に出品された「国家珍宝帳」の末尾に、「葛木連戸主」のサインを見かけた時までさかのぼります。たまたま、その時までに、この人が和気広虫の夫だということは知っておりまして、「ああ、ここに小説ネタがあるなあ」とふと思ったわけです。
つまり私は戸主からこの小説に入ったのですが、いろいろ調べたり書いたりするうちに、吉備真備という人物にどんどん共感して行きました。昨年1月には、小田川のほとりを歩いて真備公園に行ったり、琴弾岩の上で1時間くらい昼寝したりしたくらいです。
だから、もし真備の人物像に血が通っているとすれば、それは私の共感と好意の証です。
私は残念ながら岡山に親戚もいないのですが、岡山は好きな県の一つです。何年か前の春に西国の札所巡りをしたときにも、のどかな風景に後ろ髪を引かれる思いでしたし、昔からの内田百閒ファンであったりもします。
歴史物の続編でなくて申し訳ないのですが、1月末には大学倒産を扱ったコメディーを出します。今後ともよろしくお願いします。

投稿: YoYa | 2011年1月11日 (火) 13時55分

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