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2007年7月16日 (月)

登場人物紹介(2) 藤野別真人(和気)広虫

Hiromushi_face

天平二年(730)、備前国藤野郡(いまの岡山県和気町)生まれ。郡司の娘として、十代半ばで同郷の下道(吉備)由利と二人、上京して采女(女嬬)として平城宮(ならのみや)に仕える。普通なら、三年も勤め上げて藤野に帰り、地元の豪族の跡取り息子とでも結婚、というのがお決まりのコースなんですが、上京の途上で行き倒れになりかけているのを救った百世という男の子の父親探し(第1話「三笠山」所収)が元で、倍近くも歳の離れた葛木連戸主に見初められ、結婚することになります。

「だって、こっちは子供だし、あっちは大人じゃないの」

とはいえ、時には戸主顔負けの勇気と知恵を発揮して、敢然と物事に立ち向かっていくところは、将来、平城宮(ならのみや)で重きをなす身にまで出世する素質の現れでしょうか。

Hiromushi_1

多忙な政務のかたわら、六十名近くの孤児たちを成人するまで育て上げた、日本初の孤児院の院長でもあります。

清磨呂という、三つ違いの弟がいます。この弟も、姉が京で結婚してしまったために、上京して宮仕えする羽目になります。詳しくは後の登場人物紹介で。

ちょっと本文の紹介を……

 そこに広虫と藤原永手が入ってきた。
「太倭守藤原永手様をお連れいたしました」広虫がいう。皇太后は改めて、若くして十人の母を勤め上げた広虫を労った。「もったいないお言葉でございます」
 皇太后は手持ちぶさたに突っ立っている永手にも声をかける。
「永手か。今日はなに用です」
「は?」心底意外な顔つきになった永手はかたわらの広虫を叱る。「その方は、宝物献納の件で皇太后様がお呼びだと申したではないか」
「そのようには申し上げておりませぬ。『宝物献納の件で皇太后様のお部屋までご足労願いたい、と夫の戸主が申し上げております』といおうとしたところを、あなた様が『わかった』と遮られたのです」広虫は平然としている。
「むう」永手は目を転じ、今度は戸主を睨みつける。たかが紫微少忠の分際で従三位の自分を呼びつけるとは無礼ではないか、と大きな字で顔に書いてある。
                                                     (第1話「三笠山」)

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