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2004年4月 4日 (日)

ノモンハンと新幹線

捨てる神あれば拾う神ありとでも言おうか、JR東海の葛西敬之社長が今日付の読売新聞でじつによい書評をくれた(ここの「大型書評」欄)。ありがたいことである。ちなみに、自作について新聞で書評をもらったのは、長編三作目にしてはじめてであるが、この作品には産経、読売、時事通信と三社が大型書評をくれた。書評には恵まれた本である。書店の棚にはまるで恵まれてないけれど(「時代小説」の棚でチャンバラ物と紛れてたり)。

葛西さんは20人ほどいる読売新聞の読書委員の一人で、多忙であろうに、この長い小説をじつにたんねんに読み、作者が書きたかったことをちゃんと読取ってくれている。スターリンのソ連の意図、日本の陸軍中枢の腐敗と事勿れ主義、にもかかわらず信念を貫き通した現地軍の将兵たちの心情と生きざま……。「極東の『カチンの森』」というのは少し違うと思うけれど。

だが、この書評の面白いところは別にある。葛西社長と言えば、あの愚かしい中国への新幹線売り込み騒動のとき、土建屋の代弁しかしない国土交通大臣や、車を売るためなら国も売る経団連会長をよそに、「日本企業の利益にならないと支援しない」「単純に技術だけを中国に移転することはありえない」と、堂々たる正論をぶちかました人物である。現場の技術者たち(空中勤務者もJRマンも技術者である)が長年かけて営々と築きあげたものを、自分の持ち駒ででもあるかのように勝手に利用し、保身と利益を図る現在の官僚たちへのいらだちと憤りが行間から吹き出しているのである。おそらくぼくの読み違いではないだろう。

ところで、せっかくの書評だというのに、読売新聞がつけたぼくの紹介文がひどい。

「◇やまのぐち・よう=1960年、東京生まれ。家電メーカーで研究開発に携わる」

ってなんだよ(怒)。まるで技術屋が本業のかたわら身内のことを書いたとでもいうような書き方。ぼくは一応、あなたんとこが主催する文学賞でデビューした作家のつもりなんだけどね。家電メーカーは三年も前に退職してるし。ため息。

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