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2002年11月20日 (水)

芸大メサイア 紹介文

東京芸術大学では、毎年暮にヘンデルの「メサイア」をやるのが恒例になっており、今年で五十二年目を迎える。これのパンフレットに紹介文を書くべしとの依頼。たいへん光栄なことであるが、音楽の専門家が千人もいるだろうところにむけて、ぼくのようなシロウトがなにをかけばよいのか、二日くらい悩む。指揮は『オルガニスト』のとき以来なにかとお世話になっているオルガン科の鈴木雅明さん。というより、バッハ・コレギウム・ジャパンのリーダーといったほうが通りがよいだろう。十二歳のときからの教会オルガニストにして指揮者という、音楽の化身のような方。「メサイア」そのものについて書かせればぼくなどよりもはるかに造詣がふかいにちがいない。だからここは、シロウトの小説家の切り口でかけばよいのだろうと蛮勇をふるって、ハノーヴァー朝イングランド(英国、ではない)と、戦後すぐの日本社会の空気のようなものを、「メサイア」の成立事情とからめて書くことにした。これはあながちコジツケではなく、中産商人階級が台頭してきた当時の英国の社会というのは、高度成長期の日本とわりあいに似たメンタリティをもっているのである。

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